「英語で受ければ日本語より楽でしょ?」
「日常会話は英語でできるから、多分大丈夫!」
こう思って学科試験を英語で受けて、あっさり撃沈する外国人は本当に多いです。
ここでは、なぜ彼らが合格できないのかを、3つのポイントに分けて、**ガッツリ(モリモリ)**解説していきます。
途中に【練習問題】も入れておくので、自分のレベルチェックにも使ってください。
1.「英語は話せる=英文も読める」と勘違いしている
話す英語と、読む英語は「別の筋肉」
まず断言します。
英語で話せることと、英文をスラスラ読めることは、まったく別のスキルです。
日常会話で使う英語はこんな感じです。
- “Stop!”
- “Turn right here.”
- “Be careful!”
短くてシンプルな文が多いですよね。
しかし、免許の学科試験の英文はこういうレベルではありません。
試験の英文は「説明文+ルール+条件付き」
運転免許の試験問題は、ルールを説明したり、条件をつけたりするので、文が長く、構造が複雑になります。
例:
You must not drive a car whose brakes are not working properly.
会話なら
“Don’t drive. The brakes are bad.”
のように短く分けて言えますが、試験では1文でまとめてきます。
ここで出てくるのが、みんな大嫌いな 関係詞(関係代名詞・関係副詞)(who, which, that, whose, where, when…) です。
関係詞が入った途端、読めなくなる典型パターン
例文1
You must slow down when you are approaching an intersection where pedestrians may be crossing.
多くの受験者は、途中から頭が真っ白になります。
- “You must slow down…” までは分かる
- “when you are approaching an intersection” ここで「えっと…」
- “where pedestrians may be crossing” で完全に迷子
「where 以降は intersection を説明してるんだよ」と分かっていないと、意味がつながりません。
日本語にすると:
歩行者が横断しているかもしれない交差点に近づくときは、徐行しなければならない。
となりますが、構造が分からなければただの「長い英語の塊」です。
例文2(さらにイヤなやつ)
You must not overtake a vehicle which has stopped at a pedestrian crossing to allow pedestrians to cross.
ポイント:
- “a vehicle” を説明しているのが “which has stopped … to allow pedestrians to cross”
- 「歩行者を渡らせるために横断歩道で止まっている車を追い越してはいけない」という意味
でも、関係代名詞 which と、不定詞 to allow、目的は何なのか…
これらが頭の中で整理できない人は、全体の意味をつかむ前に時間切れになります。
【練習問題1】関係詞が入ると読めなくなる?
次の英文を、10〜15秒以内で理解できるか試してみてください。
When you drive in a residential area where many children are playing, you must always be ready to stop.
Q. この文が言っていることは?(一番近いものを選んでください)
- 子どもが遊んでいる場所では、いつでも止まれるようにして運転しなければならない。
- 住宅地では、子どもは遊んではいけない。
- 子どもがいない住宅地では、スピードを出してよい。
- 住宅地で子どもを見かけたら、クラクションを鳴らさなければならない。
正解は 1 です。
もし、
- 10〜15秒でサッと読めない
- 日本語訳に時間がかかる
- 「なんとなく分かるけど自信がない」
という状態なら、試験本番のスピードには足りていない可能性が高いです。
2.1問あたり「26秒」の壁:時間に間に合う読解スピードがない
多くの英語受験者が落ちる「本当の理由」は、文法知識よりも 時間管理と読解スピード です。
1問あたり26秒の現実
試験時間と問題数のバランスから、1問に使える時間は約26秒と言われています。
26秒を分解すると、だいたいこんな感じです。
- 問題文を読む:10〜15秒
- 内容を理解して「正しい/誤り」などを判断:5〜8秒
- マークシートに記入:5〜8秒
合計すると ちょうど26秒前後。
つまり、
問題文を10〜15秒で読めない人は、その時点でほぼアウト
ということです。
「辞書を引けば読める」は試験では意味がない
よくある勘違いがこれです。
「ゆっくり時間をかければ読めるから大丈夫」
残念ですが、試験では ゆっくり読んでいる時間はありません。
- 1文読むのに 30〜40秒かかる
- 知らない単語が出ると固まる
- 最後まで読まないと意味が分からない
この状態だと、
- 半分も読み終わらないうちに時間がなくなる
- 焦ってテキトーにマークする
- ケアレスミス連発
というパターンにズブズブはまっていきます。
【練習問題2】26秒チャレンジ
以下の問題を、自分で26秒測りながらやってみてください。
(スマホのタイマーなどを使うとリアルな感覚が分かります)
Question
When you see a pedestrian who is about to cross the road where there is no pedestrian crossing, what should you do?
- Speed up so that you can pass before the pedestrian crosses.
- Continue driving at the same speed because there is no pedestrian crossing.
- Do not hinder the crossing of a pedestrian.
- Use your horn to warn the pedestrian and keep driving.
Q. 正しい対応はどれでしょう?
正解は 3 です。
ここでチェックしてほしいポイント:
- 英文を読むのに何秒かかったか?
- 問題の意味がパッとつかめたか?
- 選択肢を読む時間は足りたか?
もし、英文を読むだけで 15秒以上かかっているようなら、
**本番のスピードには「かなり足りない」**と考えてください。
「10〜15秒で読めるか」が合否ライン
実際の試験では、
- 「今の問題、もう一回読みたい」と思っても時間がない
- 見直しする余裕もほとんどない
- 最後のほうは、時間との戦いでパニックになりがち
です。
ですから、
・1文あたり10〜15秒でざっくり意味が分かる
・「ん?おかしいな」と思うポイントをすぐに見つけられる
このレベルまで「英語を読む筋肉」を鍛えておかないと、
知識はあっても点数が取れないという残念な結果になります。
3.「なぜか自信満々な人ほど読めていない」問題
ここが一番やっかいなポイントです。
「自分は読める」と思い込んでいる人ほど危ない
指導していると、なぜかこういう人が多いです。
- 「オレ、英語けっこう読めるんで」
- 「仕事で英語使ってます」
- 「学校で英語得意でした」
ところが、実際に問題を読んでもらうと…
- 文の途中で意味を取り違える
- 大事な not, must, except を読み飛ばす
- 関係詞以降が頭に入っていない
- “You must not 〜” を「してもよい」と勘違い
つまり、「読めているつもり」であって、本当の意味では読めていないのです。
なぜ自分の読解力を正しく理解できていないのか?
理由はいくつかあります。
- 日常生活で英語を「なんとなく」で済ませているから
- 雰囲気で意味を推測しても、会話はなんとかなる
- 多少聞き逃しても、表情やジェスチャーでカバーできる
- これに慣れてしまうと、「正確に読む力」が育たない
- 「知っている単語」が多い=読めている、と勘違いしているから
- 単語ひとつひとつは知っている
- でも文全体の構造(どれが主語・どれが動詞・どれが修飾語)が見えていない
- その結果、「なんとなくこういう意味だろう」と誤解してしまう
- 難しい文を読んだ経験が少ないから
- 会話の英語と、試験英語は別物
- 特に、条件・例外・禁止・例外条件の英語は一気に難しくなる
【練習問題3】「自信家チェッカー」問題
次の英文を、15秒以内で理解できるかチャレンジしてみてください。
Question
You must not drive a vehicle which is overloaded with passengers or luggage, because it may be difficult to control the vehicle safely.Is the above statement true or false?
- True
- False
Q. この文章は正しいか、誤りか?
正解はもちろん 1. True です。
ここでチェックしたいのは、
- “which is overloaded with passengers or luggage” が vehicle を説明していると理解できたか
- 「乗客や荷物を積みすぎている車を運転してはいけない。なぜなら安全にコントロールするのが難しくなるから」と、条件+理由までセットで理解できたか
もし、
- 文章の途中で止まる
- 「overloaded…? luggage…?うーん…」と悩む
- 結局「なんとなく unsafe っぽいから true にしよう」と感覚で答えている
という状態であれば、
「自分は読める」と思っていても、試験レベルではまだ読めていないということになります。
「理解のレベル」をはっきりさせる3つのチェックポイント
自分の読解力を正しく理解するために、以下の3点を意識してください。
チェック1:時間
- 1問の英文+選択肢を読むのに、15秒以内でいけるか?
- 26秒のうち、読解に20秒以上かかっていないか?
チェック2:正確さ
- must / must not / may / may not / except などの細かいニュアンスをきちんと区別できているか?
- not や except を読み飛ばしていないか?
例:
You may park here only at night.
→ 「夜だけ駐車してよい」という意味。昼もOKだと思っていたら危険。
チェック3:説明できるかどうか
- その英文を日本語で自分の言葉で説明できるか?
- 「大体そんな意味」という曖昧な理解ではなく、
「誰が・何を・いつ・どこで・どうする・なぜ」を説明できるか?
「感覚ではなく、言語化できるか」が決定的な差になります。
【まとめ】なぜ英語試験で落ちるのか
ここまでの3ポイントをもう一度整理すると…
- 「話せる英語」と「読める英語」は別物
- 関係詞や複雑な文構造が入ると、一気に読めなくなる
- 試験英語は会話よりはるかに「説明的」で「固い」
- 1問あたり26秒という時間制限
- 読解に10〜15秒でたどり着けないと、判断とマークの時間が足りない
- 「ゆっくり読めば分かる」は試験では通用しない
- 自分の読解力を過大評価している人が多い
- 日常会話や仕事の英語と、試験英文はレベルが違う
- 「なんとなく」で乗り切れる癖がついていると、試験ではボロが出る
今後の対策の方向性(ざっくり)
このページでは「なぜ落ちるのか」という原因にフォーカスしました。
対策としては、ざっくり言うと以下のようなステップが必要になります。
- 関係詞入りの文を集中的にトレーニング
- 試験レベルの英文を「10〜15秒で読む」練習
- 自分の理解を日本語で説明するアウトプット練習
- タイマーを使って、本番と同じ26秒ペースでの問題演習
ここまで読んで「やばい、自分かなり当てはまるかも…」と思った方は、
**「話せるから大丈夫」ではなく、「読めるスピードまで鍛える」**ことを意識して、対策を始めてみてください。
